「…どういうつもりだ」
人気も疎らな通りで少女を下ろす。
つい責めるような口調になるが、仕方ない。お父さんだの何だのと言ったのは向こうの方だ。
「だって、無視したのはそっちでしょ?」
「じゃあ何の用だ」
悪びれもしない様子に少しだけ苛つく。
酔いも回って気持ち良く寝れそうだって時に、厄介な人間に絡まれたものだ。
「今晩泊めて欲しい」
「…ふざけているんだな?友達にでも頼め。用がそれだけなら俺は行くぞ。早く帰って糞して寝ろ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!田舎から引っ越して来たから頼れる人いないんだってお願い」
追いかけてくるが無視を決め込む。どうせ大人をからかって楽しんでるか何かだろう。放っておけば諦めて帰る。
筈だと思った。
誤算だった、何時までもついて来る。二、三度振り切ってやったが何故か追い付いてくる。
ストーカーだと通報するか?
…馬鹿らしい。
