「あぁ殿方様」 「わっちを選んで下さいまし」 「いいえ、わっちが貴方様を喜ばせられますわ」 「わっちを見て下さい」 しかし男は小さく微笑んで去ってしまった。 女郎達は惜しげに眼を追ったが、男は一度も振り向かず去ってゆく。 「彼はあきまへんえ」 誘いを断られた女郎達の背中を笑いながら、高級太夫は艶やかな笑みを浮かばせた。