「15年目か・・・。」


 女性が、ふらりと口にする。


 15年・・・。


 一人の皇太子が暗殺されてから、15年・・・


 この長い長い戦争が始まってから、15年・・・・


 アルクが・・・・・・・その名を名乗るようになってから15年・・・・・・・・。


「長いな・・・・。長すぎるよ・・・。」


 思わず口に漏れる。


 こんなに、続くとは思わなかった。


 すぐに終わると思っていたんだ。


 こんなこと・・・


 こんなもの、すぐに終わると思っていたんだ・・・・・。


「布石は、もっと前からあったんだ・・・仕方ないさ。」


 女マスターは、それだけ口にすると、グラスをもう一つ取り出し、自分の分といわんばかりにバーボンを注ぐ。


 人が、海中に住居を移して200年以上。


 とても狭い土地。


 とても圧迫された環境。


 人が住める場所は限られている。


 その中で、幸せになれる方法はもっと限られている。


 争いは、必然・・・。


 戦争は、当然・・・・・。


 だけど・・・・・・・・それでも・・・


「それで、納得できれば、こんなところで酒を飲んだりしないよ・・・。」


 思わず漏れる本音。


 普段は決して口に出来ない言葉だから・・・今日だけは許して欲しい・・・。