アルクと海人が連れてこられたのは、ガイラス基地という、小さな基地だった。


 そこの格納庫の中に一体のギア・ドールが眠っていた。


 全長8メートルの緑色をした機体。


 その名も・・・・・・・『マリア』・・・・・・・・。


『水練から聞いたときは、嘘だと思ったけど、本当だったのね・・・。お久しぶり、アルフレッド・・・って、今はアルクだったわね。』


 声は、ギア・ドール本体から聞こえた。


 柔らかい声・・・。


 懐かしい声・・・。


 正直・・・こんなカタチでの再会なんて・・・したくなかった・・・。


「声帯までつけていたのか・・・?」


 マリアに対して言った言葉ではない。


 アルクの隣に立つ男性・・・水練に向けての言葉だ。


「残っていたからな・・・せっかく意思を持っているのに、しゃべることすら出来ないなんて、可哀想だろう?」


 ・・・・・・どこがだ?


 むしろのこの姿となった彼女は、可哀想だと思わないのか・・・。


「隣にいるのが、アルフレッドの今の相方さんね?スラムキングなんて、やるわね・・・二人とも・・・。」


 そんな明るい声を出さないでくれ・・・マリア・・・・・。


 ・・・・・・・決心が揺らぐ・・・・。