「出来るさ・・・まだ、可能性は残されている。お前はマダ死んじゃいない・・・。」


 絶望的なのは分かっていた。


 簡素な医療施設。数の足りない薬。


 そして、圧倒的な医師不足・・・。


 そのすべてが戦争の影響によるもの。


 すべてが・・・15年前に引かれた、あいつの銃弾の影響によるもの・・・。


 過去に戻れたら・・・。


 すべてをやり直せたら・・・。


 今さら、思ってもすべては無駄なこと・・・。


「ありがとう・・・私はね・・・一度でいいから平和な世界がみてみたいの・・・平和な世界で、あなたたちと、あなたと、アルフレッドとピクニックに行ってみたかった・・・。」


 ・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・・・・・・・それが、彼女の最後の言葉。


 ・・・アルフレッド・・・。


 それが、彼女が最後に出した名前・・・。


 ・・・・・・・・ナゼ、神は俺にこんな残酷な光景を・・・。


 なぜ、マリアは最後に、俺にそんな残酷な言葉を残してしまったのだろう・・・。


 平和な世界がみてみたい・・・。


 平和な世界でピクニックがしたい・・・。


 叶えて見せるさ・・・。


 どんな手を使っても・・・。


 年老いた老兵は思う。


 所詮は、地獄に落とされることさえ、許されない人生。


 ケルベロスのエサにすら、なれるかどうすら、分からない腐った人生・・・。


 だから・・・せめて、愛するものの願いぐらいは叶えてあげたい・・・・と・・・・。