タオルにはーー、油性と思われるペンで落書きがされていた。

落書きの内容も、千鶴にとって屈辱的なものばかりである。

泣きたくなった。

ただのタオルではない。

心の通い合った親友が遠くへ引っ越しをする際に、また競技場で会おうと願いを込めてお揃いで買ったタオル。

思い出の品を汚されたことに。

再会の誓いそのものを汚されたような気がして。

気づけば、自然と涙が溢れだしていた。

悔しくて。

悲しくて。

こぼれた涙は瞬時にタオルに吸い込まれ、消えていく。

「…なんで…」

蚊の鳴くような声でそう漏らした。

その時ーー、

静かな教室に、新たな音が響き渡る。