「行ってきまぁす」


あたしは、神楽坂萌美(かぐらざかもえみ)。

現在、8時48分。

8時30分に学校が始まるから
もう、急いでも完全遅刻。


「お前は、もうちょっと早く行こうって思わねぇの!?」


あたしの隣で騒いでるのは
幼なじみの五反田亮(ごたんだりょう)。


いっつも、8時に迎えに来てくれるんだけど、あたしの準備が遅くて時間通り登校するなんて滅多にない。


まぁ、亮もそう言いながら
あたしに合わせてくれて
ゆっくり歩いてくれてる。

10分ほどで学校に着くぐらい近くて、いっつも先生に疑問を持たれる。


亮と話ながら歩いてると、すぐに学校に着いた。


「遅れました〜」


あたしが、ドアを開けたら
なんかダサい格好をした男子が立っていた。


黒ぶち眼鏡にボサボサ頭、制服も着崩してなくて、きっちり着ている。
この学校では珍しいタイプだ。


「…あんた誰?」

「転校生の西郷瑠夏(さいごうるか)くんだ」

「へぇ…」


先生が、教えてくれたけど
そんなに興味が無かったから、適当に返事して席についた。