だから、皐月はぐいぐいと天野くんに話しかけているけどその話しにうんともすんとも言わないし頷きさえもしない。
よかったぁー、皐月には悪いけどこのまま時間だけが過ぎてほしいと思った。
あたしはお手洗いに行きたくなり、みんなにちょっと出るねと言って出た。
お手洗い場から出ると、なぜだか雨宮くんが立っていた。
「ふうかちゃんって可愛いよね〜!」
「ぁ、ありがとう…」
もしかして雨宮くんちょっと酔ってるのかな…?
「ねーねー、ふうかちゃんって彼氏とかいるのー?」
「い、いないよ!」
「えーっ、ふうかちゃんこんなにも可愛いのにもったいないなー。じゃあ俺がふうかちゃんの彼氏になろうかなぁ〜」
「そっそれは…」
「そんな困っているふうかちゃんもいいねー」
次の瞬間、雨宮くんの顔が近づいてきた。
う、嘘…!
き、キスされるの!?
「いや…!!」
そう思ったとき、雨宮くんがあたしから離れ、床に思い切りだれかに飛ばされた。
目の前に居たのは天野くんだった。
嘘、天野くん!
いつの間にか天野くんに抱きしめられていた。
え、あたし天野くんに抱きしめられているの…
天野くんに安心したのか目から涙が出てきた。

