ふっ、ふぇ…
もう涙なんて止まらなくなっていた。
「大丈夫か…?」
その優しい声にあたしはだんだんと怖さが無くなっていた。
前のナンパの助けてくれたことといい今回のことも天野くんがとてもヒーローに見えてきたのだった。
「みんなのところに戻るか」
「うん…、天野くん…」
「…うん?」
「ありがとう。」
あたしは精一杯の笑顔で天野くんにお礼をした。
「あぁ」
あたしは天野くんにあるお願いをした。
「天野くんにお願いがあるんだけどさっきのこと杏奈たちには黙っててもらえないかな?余計な心配かけたくないし。」
「わかった、じゃあ行こうか。」
本当に天野くんは優しい。
「ただいま…」
「あっ、やっと戻ってきたー!もうなかなか戻ってこないから心配したんだよ!天野くんと一緒だったんだね!」
「ご、ごめんね。」
「大丈夫だょ!」
天野くんのほうを見るといつもの天野くんに戻っていた。
あの時の天野くんを知っているのはあたしだけなんだ。

