永瀬葵…


それが先輩の名前。

サラサラと黒髪を揺らしながら、
着崩した制服から鎖骨を覗かせる。


先輩は男なのに色っぽくて。
そして何より綺麗だ。


モテないわけがない。


葵先輩は完璧なんだ。


だから……
わがままは言わない。


あたしだけを見てよ。なんて… 言わないから、冷たくしないで欲しい。


葵先輩はあたしにだけ冷たい。
あたしにだけ笑わない。


彼女、なのに…


葵先輩はあたしが大嫌い。