先生とシンデレラ

「い、いや何も…」

私が遠慮気味にそう言うと。

先生はギロッと睨んで

「へぇ。羅々は何もないのに笑うんだ?」

「…ち、ちが…っ」

「…怖」

「ち、違いますっ」

私が勢い良くそう言うと

「じゃあ、何?」

と言った。

「…えっと…」

私がそう言うと先生はため息を吐いて

「羅々、あのね…」

と言い出した所でお姉さんが、

「も~止めなさいよぅ~。可哀想でしょ、可哀想でしょ!!」

と言って私に抱きついてきた。

「姉さん…邪魔しないでくれる?今、指導中なんだけど。」

先生があきれた様子でそう言うと、お姉さんは

「まーっ!あんた、最低ね!こんな可愛い子に向かって!そんなんだからもてないのよ!」

「余計なお世話だよ…。」

「し、心配してる姉に向かって…!!」

「心配?はっ、笑えるね。ただ単に楽しんでるだけだろう。」

「そうよ!悪い?!」

「開き直らないでくれる」

…こんな先生初めて見た。

いつもはなにに対しても

冷静で
沈着で
興味がなさそうで。

なのに。

今ここにいる先生は

そのどれにも当てはまらない。

私…

こっちの先生の方が好きだな…。