先生とシンデレラ

無意識にも顔の熱が上がっていって。

あまりの嬉しさに声も出せないでいた。

「やーーーん!真っ赤になったぁ♪可愛いーーー」

「…あんまりからかわないであげてくれる。」

先生がボソッと言った。

「ふん、何よ!やきもち焼いてんじゃないわよっ」

「…何が。…何処が。…誰が。…馬鹿じゃないの。」

先生が素っ気無くそう言うと女の人は一瞬だけ意表を突かれたような顔をしてから、はっはーん、と言った。

「何年あんたとつきあってきてると思ってるのよ。あんたの好みなんざ知りたくも無かったけど知ってるわよ!」

付き合ってる

あぁそうか。

やっぱりこの人…

女の人が鼻高々にそう言うと先生はばつが悪そうにそっぽを向いた。

「この子、あんたのタイプど真ん中じゃないの!昔からそうだったわね、綺麗系より可愛い系が好きだったのよ!…詳しく言うと、可愛いけどそれだけじゃなくていざという時にきちんと自分が持てる人で、時々その容姿からは想像も出来ない様な行動を起こす…「…わかった。分かったから…」

先生は言い終わる前に言葉を被せて。

私がじっと見ていた事に気づいたのか手で口元を覆い隠しながら一切こっちを見ずに

「…羅々。なんでそんな見てるの。」

と言った。

「…え。」

「そんなに熱い視線で見るの、止めてくれる。」

と言った。

あ、熱い視線?!

私が、すいません…っ、と急いで目を逸らすと女の人は先生の声色を真似したような声で、

「“照れるから”」

と言った。