先生とシンデレラ

私が驚きで固まっていると。

その女の人は私の顔をまじまじと見ながら

「お人形さんみたいね!目が大きくて顔が小さくて肌が白くて…そうとう学校でももてるんじゃない?!」

…“お人形”

誰が?

…え、

私?

「…っいやあの、そんな、滅相もない…です…!」

無意識にも口から勝手に出ていた否定の言葉。

口にしながらも顔の前で手をブンブン振ると。

女の人は私から目を逸らさないまま、綺麗な仕草で顎に手を当てながら

「うーーーむ…。無自覚…かぁー…。」

と言った。

…無自覚も何も!

そんなこと本当に無いんですけど…

私が呆然として返事をしない代わりに先生がそっけなく

「…まだ少しでも自覚出来てるなら良いんだけど…この調子だからね。
まぁ、そこが良いんだろうけど。」

と言った。

すると女の人はニヤニヤしながら

「っなーーーにとぼけてんのよぉっ!あんたもその一人のくせに~~~」

ウリウリと肘で先生のお腹をさすって。

「…は」

「うわぁ、まだとぼけるつもり!?あんた言ったじゃない!!最初に電話してきたとき!
覚えてないの?」

先生はチラッと私を見てから

「…さぁ。覚えてないな。」

と言った。

「しょーがないわねぇ…あんたはね、『可愛い子、連れてくから。』って言ったの!」

…え

“可愛い子”

それって私?