「…さ、先生送ってくから。」

何もなかったみたいに…

「家帰ってもちゃんと勉強、するんだよ。」

何もなかったかのように、先生は平然とその言葉を口にした。

先生の顔をちらっと盗み見ると。

赤くもなってない…

じゃあ、さっきのは?

ただの遊び?

ただの暇潰し?

「…」

私は無意識に掌を、膝の上で握りしめた

…先生は大人だから。

私みたいな子供の事なんて。

そんな事を考えて。

…馬鹿みたい。



「羅々の家どこだっけ」

そう言いながら、先生が、差したままだった車のキーを回す。

「…?」

先生はさっきから何も反応しない、私を不思議を思ったのか、顔をのぞき込んできた。

「羅々…「…結構です。」

「…え」

その言葉を聞くと先生は、キュッと眉を寄せた。

だけど、そんな事を気にしてる余裕も無く。

「本当に…っ送ってくださらなくて、結構です…っ!」

私は、先生の返事も聞かず、一方的にドアを開け、走り出した。