先生とシンデレラ

「…へぇんへぇい…」

口を押さえられながらも懸命に出した声はこんなマヌケな声で。

先生は私を睨みながら、

「…黙ってる事も出来ないわけ?」

と言った。

…そんな怖い顔で睨まなくても…

「…へぇ」

私がもう一度名前を呼ぶその前に。

「黙れないんなら、…その口。


今すぐ縫うよ。」

と言った。

ぬ、縫う?

誰が?

誰の?

何をどうするって?

「…」

私が黙っている事に満足したのか先生は、静かにね、と言って右手を私の口元から退けて前に向き直った。

周りの人達がもぅ自分の仕事に戻っているのを確認してから私も前に向き直る。

「…あの」

私が静かな声でそう話しかけると。

「…何」

と言った。

「…警備員が沢山外にいたから…。
てっきり危険な場所なのかと思ってて…」

私がそう言うと先生はチラッと私を見て、

「…先生がそんな所連れてく人だと思ってたって事」

と静かに聞いて来た。

「っち、違います…!」

まずい。

怒ってる。

「へぇ…羅々にそんな風に思われてたんだね。」

「…いや、あの…」

「…信用…されて無かったんだ?」



…違うって言ってるのに…

好き勝手言って…

「…だ、だって!」

…堪忍袋の尾が切れた。

「…先生、行く場所も何にも教えてくれないじゃないですか!」