先生とシンデレラ

…どこ、ここ…

着いた先は見た事も来た事も無い工場みたいな所。

…デ、デートってここで…？！

しかも警備員いっぱいいるし…

ただの工場なのに…

何で…？

何で？

呆気に取られている私を他所に先生は慣れた様子で工場の入り口に立っている警備員の方へ歩いて行く。

先生はその途中で颯爽と振り返ると

「羅々置いてくよ。」

と一言だけ言ってまた歩き出してしまった。

…そ、それは困る！

ただでさえ怪しい所なのに先生が居なくなったら…

先生のほうに慌てて駆けて行くと先生は既に工場の入り口の目の前に居てそこに居る警備員に何かカードらしきものを見せていた。

警備員は追いかけて来た私に気がつくと先生に

「そちらのお嬢さんは…」

と言った。

先生は私の方をチラッと見ると

「あぁ、連れです。」

と言った。

警備員は

「そうでしたか。それは失礼いたしました。どうぞ中へ…」

そう言って重そうなドアを開いてくれた。

“あぁ”と言われた事に多少ムッとしながらも先生と二人で中に恐る恐る足を踏み入れた。