先生とシンデレラ

相変わらず綺麗な目…

私は、私の昨日書いたレポートをただ一心に見ている先生の夕日に照らされた薄茶色の目を眺めながら思った。

何でこんなに透き通ってるんだろう。

私の目は、茶色と言うかどちらかと言うと真っ黒でたまに「可愛いよね。真っ黒な瞳。」と言われた事もあるけど、その意味が全くわからない。

…茶色の瞳の方がいいに決まってる。

その時も確かそう言った。

そしたらその友達は少し私の事を馬鹿にした様子で、
「茶色だろーが、黒色だろーが、その子に似合ってれば十分でしょ。」
と言った。

その時の私は、馬鹿にされたと思って、
“日本人顔って事？”と少しイラっと来てしまった。

今思えばあの子は、励ましてくれたんだろうな。と思う。

そんな事を考えながら無意識にも私は先生の顔を凝視していたらしく、先生は紙から目線を外さずにたった一言言葉を発した。

「…何見つめてんの。」

…

…

み、見つめてる⁈

私は先生の一言によってパッと目線を先生の右側にある窓に移した。

「…ち、違います、み、見つめてなんか…」

しどろもどろになりながら弁解すると先生は、今まで見ていた紙から目線を外して口元を器用に上げながら私の方を見て、
「顔に書いてあるけど。」
と言った。

「…何て書いてあるんですか。」

私が俯きながらそう聞くと先生はフッと笑ってから、
「…“先生の瞳薄茶色で羨ましい。綺麗。”でしよ。」

「…⁈な、何で…」

私が思わず顔を上げながらそう聞くと先生は、
「だから、顔に書いてあるってば。」
と言って先生は自分の頬を長い指先でコンコンと叩いた。

先生の行動につられて私も頬を無意識のうちに両手で撫でた。

「…ふ。羅々…？」

先生は、そう言って私の頬に手を伸ばして。

「…先生は、羅々の黒色の瞳、好きだよ。」

私の手を上から握りながらそう言って。

…何で。

知ってるの…

そんな疑問を浮かべながらも、浮かぶのはさっきの先生の発した二言。

“好き”？