先生とシンデレラ

…あ。

あ…とちょっと…

私の手が三浦君のおでこに付きそうになったその時。

「…っわぁ!」

三浦君が気づいてしまった。

「な、何する気なんだよ、お前は?!」

突然の剣幕に意味のわからない私は、ただ呆然とするだけだった。

…“何する気”って…

…っていうか、三浦君何を怒ってんだろう?

何にも変なことしてないはずなのにな…。

私が頭の中で今さっきの出来事を整理整頓していると、また三浦君が、

「…お、おい、長谷川!俺はお前が俺の頭に何しようとしてたのか聞いてるんだけど?!」

と言った。

「な、何なの、何で三浦君そんなに怒ってるの?私何にも…。」

私がそう言うと三浦君はまるで耳が遠くなったみたいに、顔を顰めた。

「はぁ?何にもしてないって、お前今明らかに変な事しようとしてただろーが。」

…へ、変な事?!

「し、してないよ…っ!変な言いがかりつけないでよ!」

「“変な言いがかり”ぃ?ふざけんなよ!いつ俺がそんな事言ったんだよ!」

「…い、いつって…。」

「何時、何分、何秒だ!?一秒も狂わすなよ!」

…な、何時、何分、何秒?!

…そ、そんなの…

「そんなのわかんないよ…」

私が涙声だったのにハッとしたのか、三浦君は咳払いして、…じゃあなにしようとしてたんだよ?、と言った。

「ね、熱…。」

三浦君は私の言った単語の意味が理解できない様子で、首を傾げた。

私は仕方なく続きの言葉を口にした。

「熱を…測ろうと思っただけなの…」