「レポートのやり方は、任せるから。授業じゃないんだから、肩の力抜いてやればいいよ。」

わたしは、はい、と返事をした。

すると先生は、
「…遅くなるといけないし、先生が送ってくから、今日は帰ろう。」
と言って机にかけてあった皮の鞄を持って立ち上がった。

…送るって、車…だよね?

私が暫く座っていると先生は思い出した様に、あぁ、と言った。

「…歩こうか。」

…。

私は、その言葉を聞いて、いいえ、と言った。

「…車でお願いします。」

私の一言に先生は驚いたようで、
「…大丈夫なの。」
と聞いてきた。

「…先生は本気で人の嫌がる事しないもの。」

私がそう言うと、先生はふっと笑って、
「下手な事出来ないな。」
と言った。