先生とシンデレラ

その言葉を合図に神父は笑って頷いて
「汝ら、誓いのキスを。」

ゆっくりと羅々に向き直る。

控えめに着飾った唇が色っぽい。

そんな事を考えながら、羅々の顔の前にあるベールを上げて。

羅々の小さい顔を包み込んで。

顔を近づけて、そっと口付ける。

本番では無いのだから、キスは必要無かった。

だからするつもりなど無かったのだけれど。

その唇が、色っぽかったから悪い。

目を見開いて真っ赤な顔をする羅々を見つめて。

「?!…っ先「黙って。」

離し出そうとした羅々の声にそっとかぶせる。

羅々は少しムッとしながら、
「…もう。」

体勢を元に戻して、神父のほうを振り返ると。

神父は気づいたのだろう。

少し驚きながらも、また優しく笑って。

「神があわせられたものを、人は離してはなりません。」