俺の腕に手を添えた羅々を確認して、二人で神父の方に向き直ると。

神父は優しい顔で笑いながら。

「新郎、加藤蓮。」

その言葉に、背筋を伸ばす。

「貴方はこの女と結婚し、神の定めに従って夫婦になろうとしています。健やかなる時も病める時も、常にこれを愛し、これを敬い、これを慰め、これを重んじ、これを守り、死がふたりを分かつまで、かたく節操を守る事を誓いますか?」

神父の言葉を噛み締めるように。

「はい、誓います。」

すると今度は神父は羅々に向き直って。

「新婦、長谷川羅々。」

隣にいる羅々を見ると。

「貴女はこの男と結婚し…」

少し涙ぐんでる。

…撮影なのに。

そう思いながらも。

さっき自分が本気で、誓う、と言った事を思い出し、そう言う時もある、と思い直す。

「…かたく節操を守ることを誓いますか?」

羅々はゆっくりと。

でもしっかりした声で。

返事をする。

「…はい、誓います。」