勢い良くドアを開けると。

案の定そこには、王子様の格好をしたままの先生がいて。

私が、ドアを開けたまま息を整えていると。

先生は笑いながら、近づいてきて。

「…あれ、先生の知ってるシンデレラと違うな。シンデレラって自分でくるっけ。」

そう笑う、先生の顔が。

たまらなく、好き。

「自分で、そう仕向けたくせに…っ」

先生はゆっくりと私の後ろにあるドアを閉めて

鍵を

かけた。

「…王子様が…っ、来てくれないから…っ」

クス、と先生が笑う。

「先生が、来てくれないから来たんでしょう…っ?」

そう言いながら、目の前にいる先生に向かってパスケースを投げつける。

「…」

先生はその投げつけられたパスケースを見事にキャッチして。

中を、見た。

それからきゅっと眉を寄せて。

そのパスケースをポケットにしまいながら私を見た。