「…っくしょー」

負けだ。

そう認めても、悔しいものは悔しい。

人気が無い廊下で一人、しゃがみ込む。

ガシガシとワックスでせっかく整えたはずの頭をかく。

それから、両手で顔を包み込んで。

「…はぁ。」

ため息をつく。

とりあえず、長谷川が優勝して良かった。

二人とも優勝逃すとか申し訳なさすぎだろ。

でも。

やっぱり俺も。

「…優勝したかった。」

そう呟くと。

「…っ優希!」