セリフを言いながら。

「“私も、舞踏会へ行きたかった…”」

何度も思い浮かべるのは。

「“私も、舞踏会へ行けるの?”」

今まで支えてくれた人達の顔。

「“でも、私なんかが舞踏会へ行っても笑われるだけよ…”」

舞台の上から。

「“お姉様とお母様がそう言ってたもの。”」

笑いながら。

「“いいえ。やっぱり行くわ!私は、王子様に会いたいもの!”」

見守ってくれてるのがわかる。



素敵な魔法をかけられて。

勇気を出して舞踏会へと出かけて行ったシンデレラ。

夢の先へと進んで行ったシンデレラ。

それは、まるで、私みたい。

灰を被った私を。

たくさんの人が魔法をかけて

夢の舞台へと

王子様の元へと

連れて来てくれた。



黄色い声援が体育館に飛び交う。

舞台袖から出て来た人は、そんなの気にも止めない様子で、私の元へと真っ直ぐに歩いて来て膝を折って手を差し出す。

「“私と、踊ってくださいますか。”」

その手を、ゆっくりと握って。

「“喜んで。”」