先生とシンデレラ

…何で誰も三浦君の控え室にいなかったんだろう。

私が落胆しながら、自分の控え室のドアを開けると。

「遅い。」

華ちゃんの怒ったような声が聞こえて。

「…え、華ちゃ…、三浦君も、トオルさんも、真衣さんも、由紀さんも?」

見た事のない顔ぶれに思わず目を見開く。

すると、真衣さんが
「羅々ちゃん!皆待ってたのよ!次ですって?出番!頑張るのよ!」

そう言いながら、笑う。

続いてトオルさんが
「ま、蓮君がいるから意地でも羅々の事優勝させると思うけど。」

一同がその言葉に、うんうん、頷く。

そして三浦君が
「ひどいんですよ、長谷川ばっかにかまって俺には“自分一人でやれるよね。”とか言うんですよ?!」

その言葉に由紀さんが
「あー、言いそう…」

そして真衣さんは手の前で両手を合わせて
「ごめんっ!うちの蓮、羅々ちゃんしか見えてないのよ!」

その言葉に三浦君が、ですよねぇー、と言ってそれから皆が笑う。

…この人達が。

私を支えて来てくれた人達。

この人達がいなかったら。

一人でもかけてなかったら。

やっぱり、ここまではこれなかった、と確信する。

「…っ」

そんな事を考えてると涙が出てくる。

私って本当に幸せ者なんだな…

「…っちょ、羅々!?」

華ちゃんの声に皆が私に目を向ける。

「んで泣いてんだよ?」

「だっ…て、本当に…っ私、皆に支えてもらって…っ。」

涙で喉が詰まって、話せない。