「華ちゃん…」

私がそう言いながら振り返ると、華ちゃんは教室の入り口に立ったまま笑顔で私に向かって
「おはよう、羅々。」

「…おはよう。」

…怖いよ。

華ちゃん、目が笑ってないよ…

それから、華ちゃんは早足で私たちの元まで歩いてきて
「…っおい?!」

「うるさいわね、良いから来なさいよ。」

「ちょ、おい、華…っ?!」

抵抗する三浦君の腕を掴んで、華ちゃんは鞄も置かずにまた廊下へと出て行ってしまった。

…。

そして私はまた一人教室に残されて。

何なんだろう、一体。

それにしても華ちゃん、積極的だなぁ…

華ちゃんみたいな積極性があったら私も…

いやいや、何考えてるの。

ぶんぶん、と頭を振りながら手に持っていた台本にもう一度目線を戻した。