目の前には、光源氏の衣裳を着て私の前に腰を下ろした先生。

同じ衣裳のはずなのに、

なんか…

「三浦君が着てた束帯と違う気がする…」

そう言うと。

先生はおかしそうに笑って。

「何言ってんの。同じだよ。」

「…」

じっと、先生の姿を見ていると。

先生も同じように私の姿を見ていたようで。

「…羅々。」

優しく名前を呼ばれて。

先生を見ると。

先生は優しく笑いながら、私の目線と自分の目線を合わせて。

「いつも着てるようなドレスも良いけど…」

先生は、私がぎゅっと握りしめてた私の両手を手に取って。

私の右手を、先生の左手が優しく包んで。

「こういうのも、良いね。」

「…っ」

その言葉に。

何も、考えられなくなる。

こうやって。

先生の罠にはまって。

いつのまにか

抜け出せなくなる。