先生とシンデレラ

わけが分からない。

羅々の言葉に眉をひそめながら。

「着替えたんだったら出ておいでよ。着替え終わったら教室おいでって先生言ったよね。」

「…っでも、あの、着方が良く分からなくて…」

「プリント渡したでしょ。」

「それだけじゃ、後ろがどうなってるか分からなくて…、今携帯で調べてるので少し待って下さい…」

「待てない。」

我ながら横暴だと思いながらも。

「先生しかいないんだから良いでしょ。出ておいでよ。」

「…っ先生だから嫌なんです…っ!」

は?

その言葉に少しイラっとしながら。

「…は。」

「きちんと着てから、見せたいんです…、だから、」

そこで羅々の話が止まる。

そこからが大事なんじゃないのか。

ため息をついて。

「…もう良いよ。先生入るからね。」

「…え、や、まだダメ…っ」

「そんな事言われると余計入りたくなるよ。っていうかもう入るけどね。」

そう言いながら。

羅々のいる教室のドアノブに手をかけた。