先生とシンデレラ

光源氏の衣裳を着ている自分の姿をなるべく目に入れないように、羅々を待つ。

こんなの、コスプレだ。

こんなの見て羅々が喜ぶなんて思えない。

そう思いながらも。

…遅いな。

小袿ってそんなに着替えるのに時間かかるのか?

教卓に置いてある椅子に腰かける。

っていうか、何か最近羅々に待たされてばっかだな。

主導権は俺が握ってるはずなのに。

いつのまにか、羅々に取られてる気がする。

俺が妥協して、それに対して嬉しそうに笑った時とか。

何も言えなくて黙っている俺の顔を笑いながら見てる時とか。

これまで、女絡みでそんな事無かったのに。

羅々には、いつも。

いつのまにか、笑顔にさせられる。