先生とシンデレラ

その言葉を聞いた羅々は心底不思議そうに
「…な、んで、ですか…」

なんでって。

先生が見たいからだよ。

絶対に似合う。

絶対に可愛い。

そんな事は口が避けても言えるはずがない。

「良いから。女の人ってこうゆうの憧れるんでしょ。ねぇ、着てみなよ。ほら。」

「…え、あの、え?無理です、着方もわからないし…」

その言葉に俺は無言で教卓まで歩いて行き、その中を探る。

それから、目当ての一枚のプリントを出して、羅々のいる方へぽい、とほかる。

羅々がそのプリントを手に取ったのを確認してから。
「…それに着方載ってるから。華だってそれ見て一人で着るんだから羅々にも出来るでしょ。」

羅々の眉を下げた顔を見下ろしながら。

「…そんな顔してもダメ。早く。」

俺がそう言うと。

羅々はきっ、と俺を見て。

「…だったら、私のお願いも聞いてください。」

予想しなかった言葉に目を見開く。

「…は?」

「先生も光源氏の衣装、着てくれたら、私も着ます。」