先生とシンデレラ

その布を紙の山から引っ張り出すと。

…何これ。

布の切れ端?

何でこんな物が…

そこまで考えた所でふと気がつく。

黒板のすぐ横の壁を見て、それから手元にある布を見て。

これ、若紫の衣装の切れ端か。

そう思いながら、壁に吊り下がっている若紫と、その隣にある光源氏の衣装を見比べて。

…それにしても、短時間でよくここまでの完成度の高い衣装作ったな…。

学校から借りればよかったのに。

作りたいって引かなかったからな。

そんな事を考えながら、ボーッと見ていると。


「…」

良い考えが、思いついた。

その考えを早速行動に移すべく、黙々と作業を続けている羅々の方を振り返って。

手を動かし続けてる羅々に対して
「…羅々、若紫の衣装、着てみなよ。」