先生とシンデレラ

っていうか、本当に散らかしすぎだろう。

そんな事を考えながら。

黙々と手を動かしていると。

「…先生。」

羅々が優しい声色で読んできて。

思わず手が止まりそうになるのを必至で我慢する。

「…何。」

俺がそう返事をすると。

「…ふふ。」

羅々は幸せそうに笑う。

「何なの。」

「…いや、何もないです。片付けがんばってるなぁ、って。」

「羅々もやりなよ。」

ほら、とそこら辺にあった紙束を掴んでユラユラと揺らす。

「…はい。」

羅々が渋々ながらにもしゃがんで片付け始めたのが、背後の空気で感じ取れる。

….何なんだ、この状況は。

こんなつもりで来たんじゃないのに。

散らかしたら片付けろ。

そんな事を思いながら手を動かしていると。



手に、一枚の布が当たった。