先生とシンデレラ

会いたい。

ダメだ、本当に会いたくなってきた。

羅々の前ではいつも余裕綽々な笑顔だけど。

…笑顔でいるつもりだけど。

本当は羅々に会えるだけで

その姿を見るだけで。



「…」

ギ…ッ

古い椅子をドアに向くように回転させて、組んでた脚を解いて立つ。

…教室に用事は無かったか。

もし羅々がいなかった時、手ぶらで帰って来るなんて、絶対にダメだ。

羅々はあくまでついでで…

もんもんと考えながら、その場に立ち尽くす。

窓は?

…閉めてきた。

忘れ物は?

…してない。

…こんなんだったら、窓を一つぐらい開けておくんだった。

…。

もう、いい。

誰に見られようが関係ない。

とりあえず、教室で何か問題がないかチェックしに来た。

…うん。

それでいこう。

決心がついた所で、真っ直ぐとドアに向かって歩き出す。

…早く行かないと。

ドアノブに手をかけると。

「…っ」

「…っゃ…」