先生とシンデレラ

私がゆっくりと鞄を手に取りながら。

「…っまだ、いるかな…」

「さぁね、でもいるんじゃない?羅々が来るの、待ってるでしょ。」

「もう帰ってないかな…」

「だから、大丈夫!早く行って来なよ。」

華ちゃんの笑顔に。

背中を押される様に。

「あのねっ、華ちゃん…!」

教室のドアから、教室の中で優しく笑いながら立っている華ちゃんを見て。

「華ちゃんのおかげで、私ここまで来れたんだよ!」

そう言うと。

華ちゃんは、照れ臭そうに笑って。

その笑顔を確認した私は。

ゆっくりと一歩を踏み出して。

走りだす。

…早く、会いたい。