先生とシンデレラ

先生の選んでくれたドレスを着た、私を鏡越しに見て、思わず息を呑んだ。

…先生って本当にセンスが良いなぁ。

先生の選んでくれたドレスを着ると、いつもの何倍も可愛く慣れた気がするから不思議。

そう思っていると。

コンコン

試着室のドアが叩かれて。

「…羅々。着替えたの。」

先生の声がした。

「あ、はい…。せ、先生は?」

すると、先生の薄い笑い声が聞こえて。

「着替えてなかったら試着室のドア、ノックしてないでしょ。」

「そ、そうですね…」

…どうしよう。

試着室からでるべきなのかな。

でも、なんか、分からないけど、無性に恥ずかしい。

狭い試着室の中でどうして良いか分からず座り込むと、先生は疑問に思ったのか、
「…着替えたんでしょ。だったら出てきなよ。」
と言った。

「…っ、あの、後で行きますから…っ!」

「は?…何で。ほら、出てきなってば。」

…何で、出られないんだろう。

先生にドレス姿なんて、何度も見せてるのに。

「…出ないんだったら、先生が開ける。」

「…っえ、「あと10秒。」

だって。

「…9」

私。

「…8」

何で。

「…7」



「…6」

今までに。

「…5」

何度も。

「…4」

私は。

「…3」

…あれ?

「…2」

私、“は”?

「…1」

…あ。

「…0」

分かった。


ゆっくりと開くドアを見つめながら。

先生が。

私の選んだ物を身につけるのなんて、初めてだから。

だから。



そのドアの先には、想像した通り、いつもの何倍もかっこいい先生が微笑んでいて。

「…羅々、いつまでも開けないから、先生がドア、開けちゃったよ。」

そう言う先生を下から眺めて。

「…本当に、王子様みたい…」

そう言うと。

先生は口元を緩めた。