あれだけ不機嫌そうなオーラを醸し出してるのになんでわかんないんだよ?

“長谷川と他の奴が結ばれるってのが、劇だとしても嫌なんだよ!”

“しかも、他の奴が長谷川とキスするのが見え見えだから余計イラついてんだろ?!”

そう言いたい気持ちを必至で抑えて。

ふぅ、とため息を吐く。

あれだけ分かりやすいのに、どーこーならない理由がわかった。

それにしても。

…可哀想に。

絶対選ばれた奴、加藤に弄られるよな…

心中お察しする。



ってか、本当に何も言わねーな、あいつ。

教壇の上に立って何やら考え込んでる加藤を一瞥する。

そんなに嫌なのか。

だったら、お前がやれよ。

でも、どーせ
「…は?先生にも立場があるんだよ。そんなのもわかんないの。相変わらず頭沸いてるね。」

…うわ。

想像したらイライラしてきた。

わけわかんねぇ。

で、
「…別に先生は羅々の事、好きじゃないよ」
とか言って。

でも、その後に

見た事もない様な
想像もできない様な

そんな顔で長谷川の名前を呼ぶんだ。

「…めんどくせぇ奴。」

ボソッと呟く。

俺には分かった風な口利いといて。

チラッと隣の長谷川を見ると。

幸い、長谷川の耳には届いていない様だった。