それから三十分。

ある程度の主要人物が決まると先生は黒板を無言で見つめて
「…源氏物語はここで止めといて、シンデレラ決めるよ。」

思わず背筋を伸ばすと、先生はその様子をバッチリ見ていたようで、クスと笑った。

恥ずかしさで咄嗟に俯いてしまう。

何でこんな時にいつも先生は見てるんだろう。

…もっと、良い所を見せたいのに。

思わずため息を吐いてしまう。

「…王子役、誰やるんだろうな?」

その言葉を発した三浦君の方をパッと見ると。

「え…?」

三浦君は頬ずえをついて呆れた様に笑いながら
「俺の時みたいに素直に決まるとは思えねーな。」

「何で…?」

「なんでも何も、あの顔見たらわかるだろ」

その言葉に先生の顔を見ると。

…?

何であんな仏頂面…

「どうしたのかな…」

私が思わずそう言うと、三浦君は私の方を驚いた様に見た。

その様子に思わず?マークが頭の中を行き交う。

そんな様子を見た三浦君はまた呆れた様に笑いながら
「…加藤も大変だな」
と言った。

…意味が分からない。