終わった後。
体育館袖に移動した。
「…お疲れ」
三浦君に笑顔でそう言われて。
私も笑顔で、
「…お疲れ様。ありがとう、三浦君。」
と言った。
それを聞いた三浦君は、少し照れ臭そうに
「…俺の方こそ。」
私がそれに対してクス、と笑うと。
三浦君も笑い返してくれた。
「…最初、長谷川の顔真っ青過ぎてどうしようかと思ってたけどな!」
「…え!いつ?」
「本番始まる直前だよ。ほら、長谷川、頭冷やしたいって体育館倉庫行っただろ?その前。」
…そんなひどい顔してたんだ。
思わず苦笑すると。
「…でも、加藤と出て来た後いつもの顔色に戻ってたから安心した。」
“羅々、失敗してもいいよ”
あの言葉があったから。
私は練習通り踊れた。
「…」
黙っていると、三浦君は笑いながら
「長谷川、顔赤すぎだぞ。」
「…えっ」
思わず両手で頬を触る。
その様子にまた三浦君は笑った。
「…優輝ー!」
その声に二人で振り返ると、そこには同じクラスの男子が沢山集まっていて。
三浦君は、少し笑ってからそっちに向けて手を上げた。
それから私の方に向き直って
「…悪い、長谷川、俺行ってくるわ。」
その言葉に私が笑顔で頷くと三浦君は駆け足でそっちへ行った。
無意識にステージへと目線を移すと。
ステージでは瑠璃ちゃんが踊ってる。
やっぱり、瑠璃ちゃんは可愛い。
あの着こなすのが大変そうなドレスを、瑠璃ちゃんなりに着こなしてる。
…さてと。
一人になった私は近くにあった入り口から、外の空気を吸おうと外に出ようと、階段に足をかけると。
「…?!」
ヒールの先が、階段の先に突っかかって倒れそうになる。
周りに支えになるものは、なにも無い。
…転ぶ。
そう思った時。
「…何やってんの。」
先生が、倒れそうになった私の腕を持って体制を立て直してくれた。
髪を少し整えながら、ありがとうございます、と言うと。
先生はふっと笑って
「…羅々、外に出て何するつもりだったの」
「あ…っの、外の空気を…」
「こんな寒いのに?」
「…」
先生は眉間を寄せながら私の全身を見渡した。
「…そんな寒そうな格好で?」
返す言葉もなく黙っていると。
先生は呆れた様にため息をついた。
それから自分が着ていたスーツの上着を脱いで、私に手渡す。
「…え」
私が手渡されたスーツの上着を見ながら、どうすべきか迷っていると。
「…着なさい。」
「…へ…」
私の言葉にまた眉を寄せて。
「…外は寒いから。それを着なさい。ちょっと大きいから風が通るかもしれないけど、着ないよりマシだと思うよ。」
…
そんな先生に私は
「…この、スーツ…」
「…何。」
「先生の匂いがしますね。」
「…っ」
先生のスーツに、顔をうずめて。
「…先生の、良い匂いがしますね」
…まるで。
抱きしめられてるみたい。
私がそう言うと、先生は
「…っそんなの、先生がさっきまで着てたんだから当たり前でしょ。
…何言ってんの」
「…それは、そうですけど…」
私がムッと唇をすぼめる。
その様子に先生は
「…そんな事どうでも良いから、早く着なさい。外、行きたいんでしょ。」
私が手渡されたスーツの上着をもくもくと着ると。
着終わった私を見て先生は満足そうに、うん、と頷いた。
それから、私に手を差し出して。
「…また、コケられると困るからね。おいで。」
その言葉に、私は遠慮がちに先生の手を握って階段を降りた。
体育館袖に移動した。
「…お疲れ」
三浦君に笑顔でそう言われて。
私も笑顔で、
「…お疲れ様。ありがとう、三浦君。」
と言った。
それを聞いた三浦君は、少し照れ臭そうに
「…俺の方こそ。」
私がそれに対してクス、と笑うと。
三浦君も笑い返してくれた。
「…最初、長谷川の顔真っ青過ぎてどうしようかと思ってたけどな!」
「…え!いつ?」
「本番始まる直前だよ。ほら、長谷川、頭冷やしたいって体育館倉庫行っただろ?その前。」
…そんなひどい顔してたんだ。
思わず苦笑すると。
「…でも、加藤と出て来た後いつもの顔色に戻ってたから安心した。」
“羅々、失敗してもいいよ”
あの言葉があったから。
私は練習通り踊れた。
「…」
黙っていると、三浦君は笑いながら
「長谷川、顔赤すぎだぞ。」
「…えっ」
思わず両手で頬を触る。
その様子にまた三浦君は笑った。
「…優輝ー!」
その声に二人で振り返ると、そこには同じクラスの男子が沢山集まっていて。
三浦君は、少し笑ってからそっちに向けて手を上げた。
それから私の方に向き直って
「…悪い、長谷川、俺行ってくるわ。」
その言葉に私が笑顔で頷くと三浦君は駆け足でそっちへ行った。
無意識にステージへと目線を移すと。
ステージでは瑠璃ちゃんが踊ってる。
やっぱり、瑠璃ちゃんは可愛い。
あの着こなすのが大変そうなドレスを、瑠璃ちゃんなりに着こなしてる。
…さてと。
一人になった私は近くにあった入り口から、外の空気を吸おうと外に出ようと、階段に足をかけると。
「…?!」
ヒールの先が、階段の先に突っかかって倒れそうになる。
周りに支えになるものは、なにも無い。
…転ぶ。
そう思った時。
「…何やってんの。」
先生が、倒れそうになった私の腕を持って体制を立て直してくれた。
髪を少し整えながら、ありがとうございます、と言うと。
先生はふっと笑って
「…羅々、外に出て何するつもりだったの」
「あ…っの、外の空気を…」
「こんな寒いのに?」
「…」
先生は眉間を寄せながら私の全身を見渡した。
「…そんな寒そうな格好で?」
返す言葉もなく黙っていると。
先生は呆れた様にため息をついた。
それから自分が着ていたスーツの上着を脱いで、私に手渡す。
「…え」
私が手渡されたスーツの上着を見ながら、どうすべきか迷っていると。
「…着なさい。」
「…へ…」
私の言葉にまた眉を寄せて。
「…外は寒いから。それを着なさい。ちょっと大きいから風が通るかもしれないけど、着ないよりマシだと思うよ。」
…
そんな先生に私は
「…この、スーツ…」
「…何。」
「先生の匂いがしますね。」
「…っ」
先生のスーツに、顔をうずめて。
「…先生の、良い匂いがしますね」
…まるで。
抱きしめられてるみたい。
私がそう言うと、先生は
「…っそんなの、先生がさっきまで着てたんだから当たり前でしょ。
…何言ってんの」
「…それは、そうですけど…」
私がムッと唇をすぼめる。
その様子に先生は
「…そんな事どうでも良いから、早く着なさい。外、行きたいんでしょ。」
私が手渡されたスーツの上着をもくもくと着ると。
着終わった私を見て先生は満足そうに、うん、と頷いた。
それから、私に手を差し出して。
「…また、コケられると困るからね。おいで。」
その言葉に、私は遠慮がちに先生の手を握って階段を降りた。


