本番まで後三日と言う時。

今日は三浦君の私のドレスにあった衣装選びでダンスの練習が出来ないからと、トオルさんから
『放課後、学校の近くの駅の前にあるカフェに集合。
女子会よ♥』
とメールが来た。

…女子会かどうかは別として。

待ち合わせ場所に着くと、まだトオルさんは来ていなくて。

ココアを頼んで待っていると。

「…待たせたわね。」

トオルさんが大きいサングラスをしながら、前に座った。

「…やっぱりトオルさんってかっこいいですよね。」

私がそう言うと。

「そんな事言われて嬉しがるとでも思ってんの?!可愛いって言いなさいよ!」

「…すみません」

トオルさんはそばを通った店員さんに、コーヒーを一つ、と言うと私に向き直った。

「…?」

疑問に思いながら、さっき来たばかりのココアをくちにふくむと。

「蓮君、貴女の事大好きね。」

?!

思わず咽せる。

「…ッケホ…っやめて下さい!そんな分けないじゃないで「そうじゃなかったら、羅々とダンス練習なんてしないわよ。」



「…え」

「貴女、精一杯で気づいてなかったのかもしれないけど。あの時の蓮君の顔。長い付き合いだけど、見た事なかったわ。」

「…」

「本当に、貴女の事好きなのね。」

その言葉に思わず頬が赤くなる。

「…っかー!そんな顔するのやめなさいよ!そんな顔するから、男はあんたみたいなのを好きになるのよ!」

運ばれて来たコーヒーをぐびっと飲んで。

「でも。それだけじゃないわね。」

「え?」

「努力家な所もウケるのよ。ダンス、だいぶん練習してるんでしょう。」

「…」

「私だって、一応男だから、あんたみたいなタイプ嫌いじゃないわ。」

ソッポをむきながら呟いたトオルさんに。

「一応じゃなくて、「だー!もぅ、うるさいわね、やっぱり大嫌いよ!あんたなんて!」

私がニコッと笑うと。

その様子を見たトオルさんは急にボロボロと泣き出した。

「…え!と、トオルさん…?!」

「蓮君の事、本当に好きだったのにぃぃぃ~~!!」

…あ、本気だったんだ。



それから私は、三時間、トオルさんの先生への想いを延々と聞かされる事になる。