家に帰ってソファにスーツのまま座って、羅々の事を考えてると。

ピリリ

メールの受信音がした。

スーツのポケットからiPhoneを取り出す。

…由紀さん?

珍しいな。

新着メールを指で開くと。

『羅々ちゃん、本当に可愛かったよ。蓮君も来れれば良かったのにね。』

それから、羅々が三着のドレスを着ている画像が添付されていた。

しっかりと保存してから、その写真を眺める。

どれもすごく可愛いけど、やっぱりピンクが一番可愛い。

白い肌に、よく映える。

羅々の頬の色と同じ淡い色。

案の定メールの一番下に
『ドレスはピンクに決まりました。蓮君の見込みどうりだね!』
と書いてあった。

もう一度画像に戻る。

…足。

細すぎ。

見えすぎ。

出しすぎ。

このドレス選ぶんじゃなかった。

そう思いながらも。

自分が選んだドレスを嬉しそうに着る羅々に、少し嬉しくなって。

すると

ピリリ

もう一通新着メールが来た。

見ていたメールを閉じて新しいメールを開く。

差出人は姉さんだった。

『蓮、大切にする物、履き違えてるんじゃない?』

そのメールにも画像が一つ、ついてて。

「…っ」

羅々の泣き顔だった。

姉さんが影から、羅々に分からないように撮ったのがわかる角度。

…最悪だ。

何やってるんだ。

姉さんにまで言われるなんて。

羅々の事、見えてるつもりだったのに。

見えてなんかいなかった。

羅々は、俺の

見えない所で

いない所で。

泣いてる。

その事実がわかってるのに。

ごめんねって

涙を拭ってやる事さえ出来ない。

ひどい脱力感に襲われて、そっとソファに横になった。