本当は結婚なんてしてない事、そんな関係でもない事、先生と生徒である事、ミスコンの事。

私はゆっくりと話す羅々ちゃんの背中を優しくさすった。

「…そっか」

「ごめんなさい…」

私の顔を見ずにそう言う羅々ちゃんに向かって私は笑って
「…大丈夫。私が羅々ちゃんを好きな事に変わりは無いから。」
と言った。

私は小さな声で
「…羅々ちゃんは蓮君が好きなんだよね。」

「…」

「蓮君もそうだと思うけどな。」

あの時。

言ってた言葉。

“大切な、子なので。”

あれは間違いなくそういう意味だった。

「…蓮君は、ドレスを選んでる時、すごく幸せそうな顔してたよ。」

だから。

気づけなかった。

二人が出す雰囲気は。

本当に相手の事を考えてる雰囲気だったから。

新婚をよく見る仕事をしてると、二人の中の雰囲気がどういう物かわかるようになってくる。

この二人は。

離れちゃいけない。