先生とシンデレラ

瑠璃ちゃんが出て行ったあと。

先生は何事も無かったかの様に緩んでいたネクタイを締め直して、
「…何。」
と言った。

“何”?

「…今日、由紀さんの所に行くんですよね」

自然と口調が強くなる。

「…そうだよ」

冷たい声に胸が痛む。

「先生は行くんですか」

「行かないよ」

「何でですか。」

「…用事があるから。」

「…用事ってなんですか!」

瑠璃ちゃんなの?

思わずそう聞いてしまう。

先生の冷たい目が私に向けられて。

「…羅々には関係無いよ」

…そこで、我に返る。

私は、何言ってるんだろう。

「姉さんが車で放課後迎えに来るから。」

もう話す事は無いとでも言う様に。

私は、静かに社会か準備室から出た。