先生とシンデレラ

「…今度、羅々が姉さんと来ると思いますので、よろしくお願いします。」

由紀さんは店の前でニコニコ笑って、
「うん。あの三着でしょ?」

「はい」

「蓮君、本当に変わったね。」

「…え?」

“変わった”?

俺が?

思わず聞き返すと。

「前は女の子の服なんか、死んでもこんな時間かけて選ばなかったでしょ?」

「…大切な、子なので」

そう言うと。

無意識に顔が笑っていた様で、由紀さんは、顔がにやけてるよ、と言った。

俺がまた笑うと。

「…本当に、蓮君と羅々ちゃんは良い夫婦になれるよ。」

本当は

夫婦でない事とか。

結婚してない事とか。

想いさえ、伝えられていない事が。

…ばれてる、気がした。

「…ありがとうございます」

もう一度会釈して。

店をあとにした。