先生とシンデレラ

この辺か。

わざと前とは違った雰囲気のドレスを選んだつもりだった。

選んだ三着のドレスを手に持ってドア近くのフックにかける。

ピンクと黄緑と水色のパステルカラーのミニドレス。

どれも羅々にぴったりで、羅々の魅力を上手く引き出してくれるものばかりのはず。

なにより、俺が選んだんだから全部似合うに決まってる。

着るの、羅々だし。

でも。

一番羅々が似合うのは。

この、申し訳程度にリボンがついてるピンクのミニドレス。

シンプルだからこそ、羅々の可愛い顔立ちが映える。

だけど。

絞りきれなかった理由は。

三着の中で一番丈が短いからだった。

…俺の前だけで着たら良いのに。

そう思ったところでふと我に返る。

一つ咳払いをして。

羅々の足を、他の男になんか見せたくない。

そう思うのに。

このピンクのミニドレスは絶対に羅々に似合うから。

切り捨てる事が出来なかった。