先生とシンデレラ

練習し始めて一時間。

だんだん自分が思うように踊れるようになった私は、勢いよくターンしようと足を踏み込む。

「…っ羅々!」



私の行動を予想してなかったらしい先生は、バランスを崩して転びそうになった私の腕をつかむ。

グッと先生の方に引き寄せられる感じがした。

「…っ」

それでも私の体を立て直す事は出来ずに、先生も自分のバランスを崩し私を抱きかかえたまま、私は背中から倒れ込んだ。

「…っ」

「…っ羅々、大丈夫?!」

…っ

先生の顔が、私の顔のすぐ上で。

先生の吐息が。

頬に当たる。

先生も少し驚いた様子で目を見開いてから、
「大丈夫そうだね。」
と言った。

私が口を開いたら、先生の口に当たってしまう。

返事が出来ない。

顔のすぐ横にある腕を立ててくれれば良いのに。

でも。

そんな事も言えない。

「…顔、赤いけど。」

思わずパッと顔を背ける。

「…っ早く、どいて下さい…」

「…どうしようかな。」



「…本当にどいて欲しいの」

「あ、当たり前です…!」

「その割には、嬉しそうな顔してるね。」

「…し、してないです…っ!」

そう言いながらそっちに顔を向けずに、両手で先生の顔を押す。

「…ちょっと。」

せんせいの方をパッと向くと。

「…ふふふ。」

思わず笑い出す。

「何笑ってんの。」

「…先生、今、凄い顔してますよ」

先生は少し眉間を寄せた。

「…その原因作ってるの、羅々でしょ。さっさと離しなさい」

先生の言葉を無視して両手で先生の頬を包んで、つまんだり引っ張ったりして、遊んでいると。

「…楽しいの」



「そんな事、全然ないですよ。」

先生はまた眉を寄せて。

「だったらなんでやってるの。」

「いつもと違う先生が見れて、嬉しいから。」

笑いながらそう言うと。

先生は少し笑った。