「先生は、羅々の方がタイプだから。」

…え

今、私の方がタイプって言った?

「それに、羅々が努力家なの…知ってるから。
さっき、頭良くないって言ったけど。そんなのね、他の子達が聞いたら泣くよ。


…っ

何でなんだろう。

先生は、

厳しいと思えば優しくて。

冷たいと思えば温かくて。

大嫌いと思えば、。

…どーしたら良いのか、分かんない。

「…そんな事、また言って…」

その言葉を聞き取ったらしい 先生は、ん?、と首を傾げた。

「…生徒が恋愛対象になる事はあるんですか。」

先生は暫く考えたフリをした後に言った。

「…さぁ」

「さぁって…」

私が、バカにされたと思って言葉を発すると。

先生は私の唇に人差し指を当てて言った。

「羅々は、先生を慕ってくれてるみたいだけど。
…知ってる?大人の世界って羅々が思ってるよりずっと…奥が深いモノなんだよ。」

先生は一息吐いて続けた。

「…痛い事だって平気でするし、本当に言いたい事も我慢する。大人って、良いものじゃないんだよ。

羅々は《大人》に憧れてるだけだよ。」

「ち、違い「 違わないよ。たまたま、勘違いしやすかったのが先生だった。
それだけだよ。」

…!

「勘違いじゃない…っ」

この恋は本物で。

この愛は変わらない物で。

なのに。

勘違い…?

「勘違いって言葉で、逃げないで下さい…っ!」

私はガタンっと大きな音を立てて椅子から立った。