あぁ、ミスコンの事か。

…ミスコン?

…!

「第一次審査の内容だけど「わ、私、でませんから…っ」

私が勢いよくそう言うと。

先生は無言で私を見た。

暫しの沈黙。

先生は一息ついて言った。

「何で」

私は先生の視線から逃げるように、俯いた。

「…私、胸が張れる所、1つも無いんです。
頭も悪いし、運動音痴だし、…可愛くも無い…。
…何で、私なんですか。
私、きっと負けちゃう…。
私より、可愛い子なんて、他にいっぱいいるのに…。」

私が、膝に乗せた拳をギュッと握ると。

「羅々。…自分の可能性を勝手に決めつけちゃいけない。
自分の可能性は他人が決めるモノだから。
自分で自分を否定しちゃ…ダメだよ。
出来ることも出来なくなる。
…羅々の悪い癖だね。
それに、羅々は、もっと自分に自信を持てば良い。」

私がスッと顔を上げると。

先生は、授業中見ないような、とても優しい顔で私を見ていた。

…っ!

「羅々は、人気者なんだよ。
羅々は知らないだけ…。
学年のほとんどの男子生徒が、日比谷 華派と羅々派でまっぷたつ。
綺麗で大人っぽい華と、可愛くて優しい羅々。
皆夢中で羅々達を追いかけてる。」

…じゃあ、

「…じゃあ、華ちゃんで良かったんじゃないですか?
華ちゃんなら、自信も頭もある…」

私がそう言うと先生は、ちょっと考えるフリをして言った。

「うん、まぁ、そうだね。」

ズキンっ。

…私、やっぱり、

「だけど。」

…?

先生は、私を真っ直ぐ見て言った。