「明日は今日決めたドレスに合わせて、メイクとか髪型もちゃんとしてもらって写真撮ろうね。」

「…はい。」

先生と二人車の中。

無意識にさっき貰った写真を眺めていると。

「それ、どうすんの」
先生は前を向いて運転しながら、そう聞いてきた。

「大事にします」

「…あ、そ」

「先生は?どうするんですか、その写真。」

先生は薄く微笑んで
「先生も、大事にするよ」

嬉しさから口元が緩む。

「絶対無くしちゃダメだからね、羅々」

「…先生こそ」







家の前についたので私はシートベルトを開けながら

「ありがとうございました」

「…ん。おやすみ。」

「おやすみなさい」

そう言いながらドアの外に出て玄関を開けて中に入ろうとして、ふと後ろを見ると。

先生は車の中からこっちを見てて、私が振り向いたのに気づくと、早く入れ、と言う風に手をプラプラと振った。

私はそんな先生を無視して先生の車の運転席まで走って行き、コンコンと窓を叩いた。

すると先生はゆっくりと窓を開けてくれた。

「…冷えるから、早く入「今日、凄く楽しかった」

先生は少し顔をしかめたがそれから、ゆっくりと笑って
「…それはよかった」

「…先生は?」

「…」

「先、生は?」

「…先生も凄く楽しかったよ。羅々のウェディングドレスも見れたしね。」

「よかった…その一言が聞きたかったんです。」

「…さ、早く、入りなさい。風引かれたら困る。」

「今度こそ、おやすみなさい…」

「…おやすみ。また明日。」

“先生も凄く楽しかったよ。”

その意味を噛み締めながら歩き出す。