先生とシンデレラ

柔らかくブラシで頬を触られながら、
「あの、本当に今日はここまでしてもらう必要は…っ」

「いいの、いいの!蓮君のお嫁さんなら私の妹同然だもん!」

「…でも」

「ほら、次は髪の毛だよ。っていうか、本当に綺麗な顔してるね。やっぱり真衣の顔毎日見てるとお目が高くなるのかな…」

「そんな事…」

かれこれそんな会話を十分。

すると。

「…はい、じゃあ、ドレスを着るよ。」

「…あの、順番が決まってるらしくて…右から…」

「…あ、そうなの。独占欲むき出しじゃん。」

そう言いながらも丁寧にドレスを着せてくれる。

「…本当に綺麗。このまま結婚式出来そう…」



鏡を見ながら。

「…本当ですか」

「?うん。」

だったら。
したいのに。
今すぐ先生と結婚出来たら、どれだけ幸せか。

「…さぁ、出来た。蓮君を連れてくるから待っててね。」

「…はい。」

出ていった由紀さんを見送ってから、そばにあった椅子に浅く腰を掛ける。

…先生も綺麗って言ってくれるかな。

鏡に写った自分を眺めて。

私はきちんと前を向けてるのかな。