先生とシンデレラ

「由紀さん、羅々に何言ったの」

“そういう所も全部好きです”
何でああいう会話になったのか。

俺には聞く義務がある。

「だから、何にもないって言ってるじゃん?」

「何にもなかったら羅々は自分からああいう事言わないよ。雪さん何か言ったでしょ」

そう言うと由紀さんは少し怒ったように

「…私に説教するまえに羅々ちゃんにちゃんと必要な事言ってあげなきゃ。」

「…必要な事?」

由紀さんは座ってた椅子から立ち上がって俺のまえに歩いて来て
「愛してる、とか!好き、とか!」

「…は」

何が楽しくてそんな事。

しかも、なんで羅々に。

「…蓮君本当に変わってないよね!羅々ちゃん、不安そうにしてたよ!あんないい子、そんなんだとすぐ捨てられるよ!」

…捨てられる?

俺が?

羅々に?

何で。

羅々と俺はそんな関係では無いし、なる可能性もない。

第一、教師と生徒なのに。

「…は、馬鹿馬鹿しい。」

少し笑いながらそう言うと由紀さんは飽きれた様に
「後で泣きついても、知らないからね!」
と言って、羅々が着替えてる部屋に入っていった。

「…っとに、馬鹿馬鹿しい…」

俺の呟いた一言が静まり返った部屋にやけに響く。